台湾の交通部民航局は25日、台湾-成田路線の運航が31日より完全自由化されることを明らかにした。これは成田空港B滑走路の運用効率を高める新誘導路の完成に伴って、年間発着枠が27万回に増加したことによるもの。今まで就航していなかった航空会社の新規参入が計画されており、ドル箱とも言える成田の自由化は、台湾の航空会社にとっても見逃すことが出来ない大きな機会だ。
現在、台湾と東京を結ぶ台湾航空会社はチャイナエアラインとエバー航空があり、共同運航便を含めてそれぞれ週37便と28便が運行されている。そのうち成田線は24便と14便だ。既に多くの便が運行されているが、繁忙期には供給が需要に追いつかない状況が常態化している。先日も日本の桜シーズンに合わせ旅行需要が高まるも、航空券が確保できない状況になっていたことが台湾現地メディアによって報じられた。日本政府観光局の統計では2012年の訪日台湾人外客数は147万人で、その数は近年増加傾向にあり、台湾―東京間の航空需要は更に高まることが予測されている。
ビジット・ジャパン事業開始以降の訪日客数の推移(単位:人)
2003年 | 2004年 | 2005年 | 2006年 | 2007年 |
785,379 | 1,080,590 | 1,274,612 | 1,309,121 | 1,385,255 |
2008年 | 2009年 | 2010年 | 2011年 | 2012年 |
1,390,228 | 1,024,292 | 1,268,278 | 993,974 | 1,466,688 |
日本政府観光局統計資料から作成
また、成田空港の自由化をうけて、トランスアジア航空(復興航空)は成田就航を発表し、早ければ5月にも運航にこぎつけたい考えを明らかにした。同社にとって、悲願であった東京就航がついに実現する。同社は1951年設立。台湾初の民間航空会社であるが、かつては台湾の国内線を中心に運行していた。2011年の日台オープンスカイ協定締結後、その路線網を広げ、那覇、大阪、函館、旭川、札幌、釧路への定期便を就航させていたが、発着枠に制限がある東京は成田、羽田両空港とも即時の自由化が見送られており、日本市場での営業実績は先行するチャイナエアラインとエバー航空に大きく溝を開けられていた。また、昨年の松山(台北)-金浦(ソウル)間の航空路線開設の際、当局に対して積極的にアピールをしていたにも関わらず、最終的に運航枠が配分されず、辛酸を嘗めた経験がある。東京便の運航決定はまさに社運をかけたビックチャンスと言っても過言ではないだろう。
このほかに全日空系の格安航空会社であるエア・アジアジャパンも東京-台北線の開設を検討しており、実現すれば東京-台北間の航空料金が低価格化することも予測されている。このほか、チャイナエアラインの孫洪祥代表取締役社長も26日、「(成田の自由化は)わが社にとって良いこと。東京-高雄の旅客便増強も出来るだろうし、貨物便の増便も考えられる」と発表し、東京便増強の可能性を示唆した。2011年の日台オープンスカイ協定締結後、日本と台湾の距離は近くなったが、成田の自由化でその距離が更に近くなり、交流の活発化が期待される。